妊娠していないのに3カ月以上月経がみられない方(無月経)
無月経とは
無月経は、月経がない状態と定義されます。
無月経は生理的無月経と病的無月経に分類され、生理的無月経は、初経前・閉経以降ならびに妊娠・産褥・授乳期における無月経を現します。
病的無月経は、性成熟期における月経の消失と考えられます。
無月経の分類
病的無月経は約3~4%に認められると言われております。
病的無月経は15歳までに初潮が来ない原発性無月経と月経が認められていたにも関わらずその後3 カ月以上月経が存在しない続発性に分類されます。
見せかけの無月経 | 1.処女膜閉鎖症 2.腟閉鎖・腟欠損 3.腟中隔症(腟横中隔) 4.頸管閉鎖症 |
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子宮性無月経 | 1.先天性子宮欠損症 2.結核性子宮内膜炎 3.幼児期 Asherman 症候群 |
卵巣性原発性無月経 | 1.純型性腺形成異常(46XY) 2.性腺形成異常 a)Turner 症候群(45XO) b)Turner 症候群(モザイク型)(XO/XX,XO/XY) 3.卵巣形成異常(46XX) a)ovarian aplasia(afollicular) b)ovarian hypoplasia(follicular) 4.原発性 FSH 不応症候群 |
視床下部・前葉系の異常による原発性無月経 | 1.視床下部性原発性無月経 2.Kallmann 症候群 3.Frohlich 症候群 4.Laurence-Moon-Biedl 症候群 |
インターセックス・アンドロゲンによる原発性無月経 | 1.真性半陰陽(卵巣+精巣) 2.女性(仮性)半陰陽(卵巣) 副腎性器症候群 3.男性(仮性)半陰陽(精巣) 精巣性女性化症候群 |
三國雅人,他.研修医のための必修知識.内分泌疾患.日産婦誌.2002; 54: N552-711)より抜粋
視床下部性無月経 | 1)間脳性腫瘍(頭蓋咽頭腫ほか),脳底動脈瘤 2)外傷,放射線障害 3)全身性・消耗性疾患,内分泌疾患 4)視床下部疾患(Fröhlich 症候群など) 5)Chiari-Frömmel 症候群,Argonz-del-Castillo 症候群 6)薬剤性(ドパミン拮抗薬,セロトニン増加薬など) 7)心因性(ストレスなど) 8)摂食障害(anorexia nervosa など),体重減少 9)GnRH 欠損・機能障害 10)原因不明視床下部機能低下 |
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下垂体性無月経 | 1)Sheehan 症候群 2)下垂体腫瘍 3)GnRH 受容体異常,LH 遺伝子異常,FSH 欠損症など 4)下垂体腫瘍外科的治療後 |
卵巣性無月経 | 1)早発卵巣機能不全 2)染色体異常(Turner 症候群など) 3)外科的治療,放射線治療,薬物(抗がん薬など)治療後 |
多嚢胞性卵巣症候群 | |
子宮性無月経 | 1)Asherman 症候群 2)子宮内膜炎 3)頸管癒着 |
その他 | 異所性ホルモン分泌腫瘍など |
三國雅人,他.研修医のための必修知識.内分泌疾患.日産婦誌.2002; 54: N552-711)より抜粋
西洋医学的対処法
1:低容量ピルの使用
2:カウフマン療法
3:排卵誘発剤の使用
漢方医学的対処法
漢方薬では無月経のことを「閉経」と呼んでいきます。(普段用いる生理が終わってしまった状態の閉経のことは「絶経」と言います)
「閉経」(無月経)に関する最も古い記述は『内経』に「女子不月」「月事不来」という記載があります。
張景岳による婦人科専門書『景岳全書』婦人規では「血枯」「血隔」とに分けて記述されております。
器質的に異常がない場合、漢方薬をうまく用いていくことで治療効果がしっかり現れてきます。
主な病因病機
虚 | 体内で必要なものが不足している(精血・腎気・気血など) | 肝腎不足・気血虚弱・陰虚血燥など |
実 | 体内でものが詰まっている(気血の滞り・痰湿など) | 気滞血瘀・痰湿阻滞など |
腎気不足による無月経
現れやすい症状 | 初潮が遅めであった。経血量が徐々に減少し、最終的に月経が停止。
発育が不十分・腰膝がだるい・めまい・耳鳴り・倦怠感・夜間尿が多いなど |
といった特徴があります。
腎気不足(女性ホルモンの不足)により、衝脈・任脈がうまく機能せず、無月経となってしまいます。
そのため、腎気不足による無月経の場合は補腎益気・調理衝任の漢方薬を中心に使用していくことになります。
代表的な漢方薬として
加減蓯蓉菟絲子丸があります。
熟地黄 | 肉蓯蓉 | 覆盆子 | 当帰 | 枸杞子 | 桑寄生 | 菟絲子 | 艾葉 |